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ストレスとぶどう膜炎との関係は?
かすみ目や充血と侮らず受診を

医療法人湘山会 眼科三宅病院

(愛知県 名古屋市北区)

最終更新日:2022/10/25

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  • 保険診療
  • 白内障
  • ぶどう膜炎
  • 緑内障

目の中に起こる病気の一つである、ぶどう膜炎。白内障や緑内障に比べて聞き慣れない病名だが、初期症状は目の充血やかすみなど身近にふと感じる不調として出てくることが多い。ぶどう膜とは、茶目の部分で光を調節する虹彩(こうさい)と、その後ろにあってピントを調節する毛様体、眼球を構成する三層構造の膜の真ん中に位置する脈絡膜の3つの組織のことをいい、そこに炎症が生じるのが、ぶどう膜炎だ。色が「ブドウ」に似ていることから名がついたという。「眼科三宅病院」の神野安季子先生は角膜疾患やぶどう膜疾患が専門で、病気の早期発見、早期治療に努めている。ぶどう膜炎の症状や原因、治療などについて詳しく聞いた。(取材日2022年7月12日)

眼球の中の病気であるぶどう膜炎。合併症を防ぐためにも早期発見と継続的な治療が重要

Qぶどう膜炎の発症にはストレスが関係するのでしょうか?

A

ぶどう膜炎とストレスの関係について説明する神野安季子先生

ぶどう膜炎は原因がわからないケースが多く、ストレスと明確な因果関係があると言い切ることはできません。原因はウイルスや細菌の感染によるものと、感染以外の免疫反応によるものなどさまざまで、日本では、全身にいろいろな症状が出るサルコイドーシスや原田病、ベーチェット病といった指定難病が主な原因とされていますが、大学病院の調査でも約3割は原因不明というのが実情です。市中の病院である当院では患者さんの半分ほどの方は原因がわかりません。検査では、まず感染性のぶどう膜炎か非感染性か、その見極めが重要になります。また、目以外の全身の症状がぶどう膜炎に関連していることもあるので、遠慮なく医師に相談してください。

Qどのような症状が出るのでしょうか?

A

初期には、目がかすんでまぶしさを感じたり充血したりといった症状が出ます。視力の低下も見られますが、進行には個人差があり、急速に自覚することもあれば慢性的に病状が進むこともあります。目の中の透明な部分に炎症細胞が浸潤するため、虫やほこりが舞っているように見える飛蚊症の症状も。人によっては砂嵐のように見える場合もあるようです。数が増えたり形が違ったりする場合は、出血や網膜疾患などの別の病気の可能性もありますので早めに受診してください。炎症が進んで眼圧が上がると目の痛みや頭痛が出ることもあります。合併症としては、白内障や続発緑内障、硝子体混濁、網膜前膜、嚢胞様黄斑浮腫などが挙げられます。

Q検査や治療について教えてください。

A

丁寧かつスムーズな検査を心がけている

検査には、視力測定や眼圧検査のほか、体に造影剤を注入し眼底の血液の流れを広角写真撮影して調べる蛍光造影眼底検査、眼球の前の部分の炎症を調べるレーザーフレア検査などがあります。また血液検査も行います。治療は、炎症を抑えるためのステロイドの点眼薬が基本となります。感染性のものについては原因がウイルスとわかれば抗ウイルス薬と併用します。通院は炎症の程度に合わせて急性期は1週間に数回程度、症状が落ち着けば3~4ヵ月に1回程度。炎症が抑えられない場合、当院では眼球の周囲へのステロイド注射にも対応しています。免疫抑制剤や生物学的製剤を使用する治療もありますが、その場合は内科併設の病院へご紹介しています。

Qぶどう膜炎の治療をしながら仕事はできますか?

A

はい。仕事も日常生活も、趣味の運動も重症でない限り普段どおりで大丈夫です。ただ、ぶどう膜炎は再発しやすいため、症状が落ち着いても通院を中断せず続けることが大前提です。ステロイド内服の摂取量が多いと易感染性、つまり感染しやすい状態になりますので、仕事はできるだけ無理のない範囲にとどめることが望ましいですね。治療のために体の免疫力が落ちてしまっているので、過労やストレスでさらに体の負担にがかかることのないよう注意してください。今は新型コロナウイルス感染症流行下にあり、社会全体で感染症対策をしていますが、ご自身でも十分気をつけていただきたいと思います。

Q眼科専門の病院を受診するメリットはどんなことでしょうか?

A

大曽根駅から徒歩1分なので通いやすい点も同院の魅力

ぶどう膜炎の合併症として白内障や続発緑内障を発症することがありますが、当院には各分野の専門の医師がいますので迅速に対応し、治療を継続することができます。また、網膜の急性壊死など失明のリスクもある特殊な事態が起こることもあるのですが、その場合も網膜硝子体専門の医師による緊急手術が可能です。困難な症例については、連携している名古屋大学や愛知医科大学など大きな病院にすぐに紹介いたします。当院は、病院はもちろん地域のクリニックとの連携も強く、検査など紹介の患者さんを受け入れ、速やかに戻っていただく形の協力体制ができています。地域と病院の中継地点という役割を当院は担っていきたいと思っています。

患者さんへのメッセージ

神野 安季子 先生

2000年愛知医科大学医学部医学科卒業。2006年同大学大学院医学研究科卒業。中津川市民病院眼科、米国ボストン小児病院リサーチフェロー、国民健康保険坂下病院眼科、愛知医科大学病院講師・医局長などを歴任し、2021年4月より眼科三宅病院着任。愛知医科大学非常勤講師。角膜疾患、ぶどう膜疾患を専門とする。医学博士。日本眼科学会眼科専門医。

ぶどう膜炎は原因不明のケースが多いため、ステロイド薬など炎症に対する対症療法にならざるを得ません。再発を繰り返して視力が落ちていく方が多いのですが、合併症を起こさないようにするためにも症状が落ち着いていても通院を続け、炎症が治まった状態を長く維持することがとても重要です。当院には数年にわたって通う方もたくさんいらっしゃいます。ぶどう膜炎はお子さんにも起こる病気で、目の充血は結膜炎と思われがちですが、市販の目薬で改善しない場合、また小さなことでも目のことで気になることがあれば、ためらわず受診してください。仕事やライフスタイルも伺い、その方に合った治療を提案させていただきます。

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