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慢性腎臓病クレアチニン高い原因は
健診で異常が出たら早期受診を

独立行政法人地域医療機能推進機構 東京高輪病院

(東京都 港区)

最終更新日:2023/12/05

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  • 保険診療
  • 糖尿病性腎症

全国で約1300万人と、成人の8人に1人がかかっていると考えられている慢性腎臓病。悪化すると人工透析が必要になることに加え、心筋梗塞や脳卒中など心血管疾患のリスクも高くなることから注意が必要だ。そして「慢性腎臓病は初期のうちは自覚症状がほとんどなく、症状が出たときにはすでに手遅れなので注意が必要です」と話すのが、「東京高輪病院」腎臓内科の式田康人先生。慢性腎臓病に対し同院では、腎生検など専門的な検査や治療に取り組むことで、一人でも多くの患者が人工透析や心血管疾患になることなく生活が送れるよう努めているという。そこで、式田先生に慢性腎臓病の基本的なことや、同科の取り組みについて、詳しく教えてもらった。(取材日2023年8月22日)

悪化するまで自覚症状がない慢性腎臓病。人工透析や心血管疾患のリスクも上がるので注意が必要

Q慢性腎臓病とは、どのような病気ですか?

A

腎臓は、血液を濾過して出た老廃物など不必要なものを、尿にして体外に排出する役割をしています。その濾過する能力が落ちている状態が、慢性腎臓病(CKD)です。また、腎機能が落ちていなくても、尿にタンパク質や血液が混ざっている状態が3ヵ月以上続いている場合も慢性腎臓病と診断されます。慢性腎臓病が進行すると腎不全となり、血液中に残っている老廃物を取り除くための人工透析が必要になるなど、生活の質が低下します。加えて、心筋梗塞や脳卒中など心血管疾患のリスクが著しく上昇することがわかっていますので注意が必要です。国内では、成人の8人に1人が慢性腎臓病とされており、新たな国民病ともいわれています。

Qクレアチニンが高くなる原因は?

A

慢性腎臓病について語る式田先生

血液中にある老廃物の一つがクレアチニンです。本来なら尿で排出されますが、腎機能が悪くなると腎臓で濾過されなくなり、血液中に残ってしまいます。つまり、血液中のクレアチニン値が高いのは、腎機能の低下を意味します。しかし、血液中のクレアチニン値は年齢や性別などの影響を受けるため、それらを計算式で補正した値であるeGFR(推算糸球体ろ過値)で評価します。クレアチニンが高くなる原因は、以前は圧倒的に腎炎が多かったのですが、現在は食生活の欧米化などに伴い糖尿病性腎症が1位で、高血圧性腎症が3位から2位になりつつあります。その原因の確定には、腎臓に針を刺して採取した組織を顕微鏡で観察する腎生検が必要です。

Q腎臓が悪くなると、どのような症状が出るのでしょうか?

A

透析室

慢性腎臓病の初期には、自覚症状がほとんどありません。ですが、その間も腎臓の働きが継続的に低下していきます。その結果、進行すると夜間の頻尿や手足のむくみ、貧血、倦怠感、息切れなどの症状が出るようになり、いずれは腎不全になってしまいます。ここで知っておいてほしいのが、自覚症状が出た時には手遅れだということです。その時点ですでに末期であることがほとんどで、人工透析に移行するために動くしかありません。ですから、定期的に健康診断を受けることが非常に重要で、血液検査でクレアチニンが高いとか、尿検査でタンパク質や潜血が出ていたら、自覚症状が何もなくても速やかに腎臓内科を受診することが大切です。

Q慢性腎臓病は、どのように治療していきますか?

A

健康診断で気になる点があった際には早期の受診が大切だという

慢性腎臓病の治療には、食事指導と生活習慣の改善、薬物療法の3本柱があります。食事では、慢性腎臓病にはタンパク質が良くないことから、従来はタンパク制限食が行われて来ました。ですが、特に高齢者にはサルコペニアやフレイルなどの問題もあることから、近年ではタンパク質を厳格に制限するのではなく、一人ひとりに合わせて指導を行います。また、適度に運動することも重要です。薬物療法では、従来から使われているRAS阻害薬と呼ばれる薬に加え、近年ではSGLT2阻害薬や、適応は限られますがアルドステロン拮抗薬などが登場し、効果が期待できます。これらの薬を患者さんの背景や副作用リスクなどを考慮しながら使用します。

Qどのような人が、気をつけたほうが良いのでしょうか?

A

まずは生活習慣病です。先ほども話したとおり、人工透析になる原因の1位と3位の両方が生活習慣病です。ですから、生活習慣病やそれに強く関係するメタボリックシンドロームには、気をつける必要があります。そして、一度なってしまった腎臓病は治せませんが、それ以上に悪くならないよう腎臓を守るための治療はありますので、早期発見と早期治療が大切です。また、生活習慣病と関係なく腎臓が悪くなるのが腎炎です。その代表がIgA腎症で比較的若い人に多いですが、あらゆる年代に見られます。これは検尿でわかることがほとんどですし、腎炎は改善が望めますから、検尿で異常値が出たら腎臓を専門とする医師の診察を受けてください。

患者さんへのメッセージ

式田 康人 先生

2009年大阪医科大学(現・大阪医科薬科大学)卒業後、昭和大学腎臓内科に入局。大阪府済生会中津病院勤務などを経て2023年より現職。日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本内科学会総合内科専門医。

慢性腎臓病で大切なのは、早期発見をして、必要であれば腎生検をして確定診断し、適切に治療をすることです。加えて、腎臓が悪くなっているのは、糖尿病や高血圧が原因だと思うかもしれませんが、実はIgA腎症など腎炎が原因のことも少なくありません。そして、原因によって治療方法は違ってきますし、治療ができる病気の場合もありますが、それを判断するには腎生検が必要です。腎生検は腎臓を専門とする医師がいて、設備が整っている病院で行うことができます。当院では腎生検を行えますので、検尿異常などがあったときには速やかに受診してください。また、開業の先生方には、CKDの方がいれば一度紹介していただきたいと思います。

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